2005年09月06日

社寮島の料亭

日の光に聊か異郷に来た思いを感じたほどの、南国の強い太陽に灼けた砂浜を跳ぶように抜けると
< 山かげに家が二つ三つ並んだのが見えてきた。後ろにも二つ三つは重なっている小さな部落 > の中に
< 三軒並んだうちの未だしも一番大きな家を目ざして行った。酒の文字を表した看板も見えた。腰から上は紙障子のある表戸を黒くなった板の框に沿うて奥行きのある土間がうす暗くつづいている。とんと内地の百姓家の感じと相違がない。八畳だか十畳だかの奥座敷へ招ぜられた。白い貝殻などを並べあしらった庭に面しているのが妙にわびしい。戸外があまりに暑かったせいか室内はひんやりとして有難い >
と、休んだ家の様子を書いている。

信子の話で社寮島には「はまのや」「まつのや」「おきなわ亭」と料亭が三軒並んでいて、そのうちの大きめなのが「おきなわ亭」だったと言う。
佐藤春夫の上がったのが「おきなわ亭」だったのではと想像してみたのだが、もちろん確かなことは分からない。信子の記憶と春夫の記述が一致しているのか私には分からないのだが、「おきなわ亭」は料亭だから部屋のたくさんあった大きな家と、信子の語りであった。
家のことはこれ以上確かめようがないが、春夫の書いた集落のことは何としてもわびしい気がする。



社寮島の料亭書込みの「 社寮島 」とは関係ないです。
投稿者の在所、新潟県北魚沼郡川口町です。

信濃川の蛇行



Posted by sab at 01:15│Comments(0)
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